フェス戦国時代の昨今。
バンドのMCはいま、曲や演奏と比べても、バンドの売れ行きを左右する大きなファクターになっています。MCがうまいバンドは、それだけで他のバンドから客を奪える時代。
しかしまあ、クソMCを繰り出すバンド達の多いこと…。おもしろくないだけにとどまらず、MCのせいで客足が遠のくレベルのクソMCを繰り出すバンド達。ステージで突然始まった自慰MCにぽかんとする僕たち。誰も幸せになれないこの悲劇に、僕は異を唱えたい。
今日は、客の僕が感じるクソMC達を取り上げるので、思いあたる節のあるバンドマン達は思い直してただちにステージ上での自慰を自粛してください。オーラルにいこう。
1. 内輪ネタ
やたら楽屋裏でのエピソードやイベント運営・スタッフとの出来事を話すバンドマン。
まだバンドメンバーとの楽屋裏エピソードならいいものの、PAいじりとか誰が楽しいんですかと。僕が知らないだけで「月刊この音響がすごい!」とか刊行されててみんな読んでるんですか?
まだライブスタッフとのガヤ話で場が沸くなら良い。
ときに運営の腰巾着と化して、やたら運営の人と仲いいアピールかましてくるやつとかは最悪ですよ。実家が貧乏なスネ夫みたいになってるヤツ。たまに「次回も呼んでよジャイアン」みたいな声出てるぞ。やたら人脈アピールに余念がないヤツら。Tehuくんか?
2. 障害者スタイル
キャラづくりの一貫なのかリアルガチなのかよく分かんないけど危な目なMCカマしてくる手合。これもかなりの割合でいる。
障害スタイルはバンドによって多岐にわたる。
- パワー型障害 ステージ上を縦横無尽に暴れ回るタイプ。パフォーマンスとして成立してるタイプならいいけど、たまに将来のことが不安になるタイプもいる。
- 幻覚型障害 よくわからない世界観ぶち上げてくるタイプ。「空を見てみよう」とか言い出す。感謝多め。空みるために8000円払ってんじゃねえぞこっちは。
- サイコ型障害 自称毒舌だったりするただのアブないヤツ。
- アルカラ稲村 稲村はまじでおもしろいからいいんだよ。
どれも共通しているのは、映画館とか美術館とかで大声で叫び出す危ないヤツと出くわしたときみたいな緊張感があること。ただ怖いだけなのでぜひあらためてください。
関係ないけどアルカラの稲村は、2015年のCDJでゲス川谷とベッキーが仲良くしてたって話を暴露してて、年明け文春砲でてからまじの事故MCだったことが分かって爆笑しました。
3. 商売人
多分いちばん多いダメMCがこれ。
執拗なまでの物販。
「買ってください」 「よかったら見てください」 「ぼくが手掛けました」 あ?Tehuくんか?
わかった、グッズ買われないと財政厳しいのはわかりました。でも、こっちも先立つものは必要なんです。フェスで観るアーティスト全員分の物販回ったら食費に直撃するんです。食えるのがモヤシと砂ぐらいになるんです。
そもそもグッズが売れないのはバンドマンが悪いわけじゃなくて、事務所のプロモーション担当が悪いから、客に物販押しつけて好感度下げるぐらいなら裏で事務所のスタッフ吊し上げてほしい。
自主レーベルなりで自分たちでプロモーションするしかない人たちは、普通にSNSとかでファンたちに向けて周知してください。
ちなみにバンド全然関係ないけれど、日光東照宮の観光案内の人は超ナチュラルに物販トークを繰り出してくるんですよ。
「家康公はご存命の時より〜〜(家康のありがたい話)。今年は家康公のご鎮座より400年となります。皆様には是非、400年というこの節目だけの特別なこちらの鈴をお家にお持ち帰り頂き、日頃から側に家康公のご利益がありますようにと思います。」みたいな感じでナチュラルに物販かましてくる。
家康のありがたいお話を聴いているつもりが、いつのまにか物販の話に着地する見事なトーク術。おじいちゃんおばあちゃん一人残らず家康のありがたい鈴買ってた。
しつこい・嫌われると分かっていながらもそれでも物販の話をしたいバンドマンは、是非日光東照宮で勉強してきてください。
4. 異常な腰の低さ
最初から最後までずっと敬語で、やたらへりくだってお客様は神様ですトークを繰り出してくるバンドたち。
これは「どこがダメなの?」と思われるかもしれません。でも、バンドのファンというのは客であって客じゃないんですね。「俺たちに付いてこい」ぐらいの熱を出してくれないとなかなかテンションがノリづらいわけで。
バンドのファンというのは、YouTubeやらTwitterやらである程度そのバンドのことを知った気になっている。ちょっとしたお友達感覚を身に着けてライブにくるんです。だから、ちょっとぐらい客には失礼を働くぐらいがちょうどいいんです。
売れてるバンドたちは、そこらへんの客との距離感のとり方がめちゃくちゃうまい。
「おれたちなんて観に来て暇だな」とか言われて客側は別に怒ったりしないし、それでファンとの絆が深まることもある。
そもそも、ファンは応援するバンドを決めるときに「ついていきたいか?」ってことを考えるはず。過剰にへりくだるバンドには、ついていくという感覚を持ちづらい。ついていきたいはずの人が過剰にぺこぺこする姿は心苦しいからです。あなたも、会社でぺこぺこするお父さんを見たくないはず。
最近は物腰柔らかなバンドが多いと思う。でもメリハリをつけて、多少のオラつきは欲しい。
5. 強すぎる向上心
「次、絶対あの一番でかいステージ連れていくんで!」とか宣言するタイプ。翌年同じステージで再開したときのなんとも言えない気まずさ。
もちろんキャラによる部分はあるんですが、そういうMCに痺れる場合もあるんですけど。細美武士とか[Alexandros]ぐらい突き抜けてれば、それが逆に魅力になることもある。
結局は身の丈にあった話をしてて、それをファンに信じさせられるかどうかが問題。
それと逆に、高すぎる目標に引きずられてやたら偉そうになっちゃうバンドもここに含まれる。平気で「しょうもないバンドとは違うんで」みたいなこと言う手合い。高すぎる意識が生み出した自意識の事故物件ですよ。自分がいままさにしょうもないぞ!
おわりに
いかがだったでしょうか。
きっとあなたも出会ったことがあるダメMCがあったはず。バンドマンの皆さん、ピンとくるものがあったら是非あらためてもらって、これからのフェス時代をキレのいいMCで乗り切ってください。
以上、また次の記事で。