レキシ。
音源もめちゃくちゃ売れてれば、ライブの動員もすごい。気づいたらいつのまにかポップミュージックのど真ん中にいた、おもしろ日本史歌うたいおじさん。
ここまで来ると、もう大体誰でも名前ぐらいは知ってるし、曲もちょっと小耳に挟んだことぐらいはあると思います。
「あ〜、なんか歴史の歌うたってる人ね!」 「なんかアフロの人!」
どっちも合ってる。けど、ここで引き返すのはもったいない。
レキシ、超おもしろいので、今日はそんなレキシのおもしろさを振り返ろうと思います。
本題に入る前に一応レキシの紹介です。
レキシは、日本のミュージシャン、池田貴史(いけだ たかふみ、1974年2月15日 - )によるソロユニットかつ、ユニット内における池田自身の名称。 同郷で同級生であった竹内朋康、永積タカシらに誘われ、1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボード担当としてメジャーデビュー。デビュー当時からアフロヘアーがトレードマーク。忌野清志郎や椎名林檎などの楽曲提供、ライブサポートなどの活動も行っている。
(引用元:Wikipedia)
レキシって?
唐突ですが、電車とかで稲穂を持った人にでくわしたことはありませんか? しかも若い女の子が。
精米済みの米が出回るようになってはや数十年。はて、どうしてあのうら若き乙女は稲穂を持っているのだろう。呪術的なモチーフ?なんかそういうサブカル流行ってるの?そんな疑問を持ったことはありませんか?
それ、実はレキシのライブグッズです。
そういうサブカルが流行ってます。呪術的なモチーフではないです。
レキシのライブではみんな稲穂を振る。そういう信仰があるんです。
掛け声は「いな、ほ〜」で振る。文字で書いてもほんと意味わかんないですね。
電車で老夫婦がレキシのライブ帰りと思われる女の子集団を見て「稲穂を持った子達がいるわ。田植え体験の帰りとかかしら?若いのに立派ねぇ」みたいなことを言ってたんですが心が痛い。ただのジョークグッズなんですすみません。食育とかじゃなくてただのおもしろおじさんの追っかけです。
若い女の子だろうとなんだろうと恥を恐れず稲穂を持って電車に乗る。レキシのおもしろさは、良くも悪くも、そういった部分に集約されていると思うんです。
日本史モチーフの曲
レキシといえば、日本史モチーフの楽曲群。
めちゃくちゃポップでキャッチーなメロディに、超豪華なバックバンド。本気のポップスを日本史で台無しにした楽曲たち。それがレキシの本懐。
池ちゃんの類まれなメロディセンスと、圧倒的な日本史の教養、そしておちゃめ心があって初めて成せる業。
でも例えば、めちゃくちゃかっこいい曲に日本史リリックをぶち込めば「レキシの曲」になるかと言ったらそうはならないんですよね。KANA-BOONだって平家物語の曲あるけど別にレキシじゃない。
このPVを見て欲しい。
レキシ - 年貢 for you feat. 旗本ひろし、足軽先生
ブラックミュージックなサウンドにめちゃくちゃポップで繊細なメロディ。そこに乗っかる農民。
音だけ見れば誰もが、おしゃれな喫茶店でかかってそうだなー、と聴こえる。そこに、日本人が皆なんとなく「ダサさ」を共有している「農民」をモチーフとして選ぶ。この落差がレキシの"おもしろさ"につながっているんですね。
同じ日本史モチーフでも、かっこいい曲に仕上げることはできたと思うんです。でも、そこを全力でおもしろい方向に振り切れるセンス。このメロディを使ってスベらないのは、相当なバランス感覚が必要ですよね。そのセンスが、レキシのおもしろさを支えている。
しかしやつい楽しそうだなこのPV。
無駄に豪華なサポート
レキシの作品には、色んな有名アーティストが参加しています。
- ハナレグミ
- 椎名林檎
- 秦基博
- いとうせいこう
- 斉藤和義
- 後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
- 持田香織(ELT)
- チャットモンチー
- Salyu
- 山口隆(サンボマスター)
- 安藤裕子
- 上原ひろみ
- スネオヘアー
- キュウソネコカミ
- 松たか子
適当に挙げただけでもこんな面子がいまして。
これらのコラボアーティストにはそれぞれ「レキシネーム」という池ちゃんの悪ふざけによるあだ名が与えられ、その名前でクレジットされている。
曲の方でも、参加アーティストの曲を志向したものが多い。たとえばアジカンのゴッチが参加した『やぶさめの馬』とかを聴いてみて欲しい。「あ、アジカン〜〜」ってなると思います。
レキシ - 「KMTR645 feat. ネコカミノカマタリ」 Music Video+メイキング
同じアルバムから『KMTR645』これもまさしくキュウソネコカミ。まあ本人たちが演奏してるので当然ですが…。
こんなに豪華な面子でめちゃくちゃかっこいい音だけど、どこかダサい曲。そして聴いたことあるような曲。世界観のすべてでおもしろい。それがレキシの魅力。
超楽しいライブ
レキシのライブ、超楽しいんです。
例えばいい曲を持ってればライブって楽しくなるかというと、そうはいかないのが音楽業界の常。
- 突き抜けた演奏の格好良さ
- 盛り上げの上手さ
- MCのおもしろさ
色々な要素が噛み合って初めて、ライブのエンターテイメントは完成する。何か一つしか武器のないアーティストは早晩ライブシーンからの退場を余儀なくされる。
安心してください。レキシのライブ、全部あります。
豪華なサポートメンバーがつくる重厚なアンサンブル、誰でも踊れる鉄板曲、めちゃくちゃおもしろいMC。レキシのライブは、ライブの楽しいが全て詰まっている。
で、池ちゃんがやたら喋る。好き放題やる。そのせいでもはや曲数はあんまりやれない。2016のSLSでは3曲しかやりませんでした。
「あんまり曲やらないの?それはちょっと…」 と思うなかれ。
会場を乗せすぎて尺が伸びに伸び、時間がいつも足りなくなるのがレキシのライブ。たくさん曲数やってる方がむしろ不安、ぐらいがレキシの正しい接し方。
まとめ
レキシ、とにかくおもしろので聴いてみてほしい。というか、ライブに行ってみてもらいたいです。
フェスでもだいたい一番でかいステージでやってるので、遠巻きに眺めてみてもらえれば、そのおもしろさがわかると思います。まずは、おもしろ日本史歌うたいおじさん、ぐらいでの認識で見てもらえれば十分楽しめるはず。
なんだか超楽しそうに稲穂がぶんぶん振られる異常な光景。それを目の当たりにして、是非つぎは自分も稲穂を振る側になってもらえればと思う。