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リーガルリリー

ガールズバンド界に革命を、リーガルリリー

更新日:

音楽業界にはたまに、いきなり本当のことを歌い始めるやつがいる。天才のこと。

僕が思いつく中だと例えば、古くは小沢健二、ちょっと前だとandymoriの小山田壮平。誰も聴いてないようなところから、いきなり本当のことを歌い始める。

間違いなく音楽なんだけど、彼らの言葉は物質的な色合いや肌触りや衝撃を伴って、僕たちに届く。ただ音楽を聴くっていうシンプルなことなんだけど、天才の歌う本当のことは、僕たちに耳だけに留まらない価値を残す。

リーガルリリーのたかはしほのか(Vo,Gt)は、紛れもなくそんな偉大な天才たちに続ける才能だ。

リーガルリリーは、並みいるガールズバンドたちを押しのけて、ガールズバンド界に革命を起こしてしまうかもしれない。

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リッケンバッカー

まずは、この曲を聴いて欲しい。

10代の女の子から出てきたとはとても思えない、繊細で、ものすごい強度を持つ言葉たち。ひとこと、「ワードセンスがいい」って言葉だけで片付けきれない才能。

単語一つ一つの詩的な美しさも、演奏面の展開も含めた曲そのもののストーリーも、どこを切り取っても、「なにかすごいものを聴いてしまった」という気持ちになる。

「よくできた音楽」とはなにか、って最近よく考える。

誤解を恐れずに言えば、計算された「よくできた音楽」は、人に「どんな気持ちになってもらいたいか」があらかじめ設定されている。

女子大生が聴いても、サラリーマンが聴いても、男子高生が聴いても、みんな同じような気持ちになって、同じような感想を抱く。よくできた音楽は、そんな形でリスナーたちに届く。

この曲は全く違う。

『リッケンバッカー』に僕たちが抱く感情は、人それぞれ違ったものになるはずだ。色や温度や肌触り、色んなパラメータが人によって違った形で感じられるんじゃないかと思う。

そして、人それぞれ違った感じ方をするはずなのに、何故か聴く人みんなに刺さってしまうと思う。これは、計算された「よくできた音楽」じゃなくて、天才が作っちゃった音楽だからだ。天才の曲は、往々にしてそんな届き方をしてしまう。

きみはおんがくを中途半端にやめた。
きみはおんがくを中途半端に食べ残す。

リッケンバッカーが歌う
リッケンバッカーが響く
リッケンバッカーも泣く
おんがくも人をころす
(中略)
明日に続く道が今日で終わるなら
このまま夜は起きない。きみを起こす人も消えて
重ねたエゴの形が燃え尽きて星になるのさ。

リッケンバッカーが歌う
リッケンバッカーが響く
リッケンバッカーも泣く
おんがくよ、人を生かせ

ニセモノのロックンロールさ。
ぼくだけのロックンロールさ。

「きみはおんがくを中途半端にやめた」という緊張感ある投げかけで始まり、「おんがくも人をころす」という冷徹な事実で曲の導入を結ぶ。そこから、諦めとも悲観ともつかないような主人公の観察があって、最後「おんがくよ、人を生かせ」「ニセモノのロックンロールさ、ぼくだけのロックンロールさ」と激情になだれ込む。

詩の構図としてそもそも美しいけれど、これを歌い上げるたかはしほのかの感情表現が、曲の切実さをいっそう強烈なものにしてる。

これまじで10代かよ。

物語づくりの上手さ

よくないバンドにありがちな失敗として、曲と詞が噛み合ってなくて聴き終わったあと結局なんの曲だったか分からないってのがあると思う。

流行りのフレーズや進行だけ拾ってポップな音できたら、誰が歌ってても一緒じゃんみたいな応援歌やらありきたりな恋愛やらがだらだら載せられる。リスナーの頭には「よく分かんないけど明るめな歌」って感じのスカスカな印象だけが残って、5分もしたら忘れられる。

リーガルリリーの曲は、曲も詞も含め、ひとつの物語としてリスナーに届く。詞の展開と曲の展開の間に必然性があって、両輪そろって一つの物語としてリスナーに届けてくれる。

おわりに

リーガルリリー、ものすごいポテンシャルを持ってると思います。

たしかに、音楽的に荒削りな印象は強いと思う。それもまたポジティブに見るといい味になるのかもしれないけども。その辺は長くキャリアを積めば必然的に洗練されていく部分だし、特に気にならない。

僕は、業界にとってちょっとした事件といって差し支えない才能が現れたと思った。

ガールズバンド、とにかく今多い。厳密に市場のライバルで言えば、ガールズバンドだけじゃなくて女性ボーカルバンドも広く競合になってくると思う。女の子をポップアイコンとして押し出すバンドは軒並み、カテゴリ的に言えばライバルになるだろう。

でも、その中でも頭一つ抜き出る可能性をいま一番感じるのは、このリーガルリリー。『リッケンバッカー』みたいな、努力や工夫だけじゃどうやっても出てこない曲をつくれるバンドは、「ガールズバンドの中でどうか」みたいなカテゴリを飛び越えて評価される。本当のことを歌う天才は、いつだって評価する側の常識を変えてしまうものだ。

とかく消費の激しいガールズバンド業界。そんなガールズバンドの常識を変えて、革命を起こしてほしい。ガールズバンドも、本当にかっこよくて凄ければ、ずっと聴かれることをはっきりさせて欲しい。

リーガルリリーなら、やりかねないと素朴に思う。

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